第二十章 境界

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「人は……いつだって、同じ人間に救われる。本気で思ってくれる、その心に。珠美を救い上げて、前を向かせてくれたのは、あなたなのよ」 「おれ……、が」 珠美によく似た瞳で珠美の母は優介を見つめた。 「戻りなさい……あちらの世界に。あなたはまだここへ来るのが早すぎる」 「っ……でも」 優介は唇を噛み締めた。 帰れない。 優介には、帰り方が分からない。 何よりも。 「もう……っ立ち上がれないんです」
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