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家族のことも友達も。
学校。
自分のことすら全て忘れて。
進んでいく。
次の生のために。
それは当然で、仕方のないことなのに。
ああ。
(忘れたく、ないなあ……)
己の命を賭してまで、救いたかった人のことも忘れてしまうなんて。
今の優介にはあまりにも残酷だった。
「空が、この世界の正門。でも……」
きっと。
彼女は、空を仰ぎ見た。
珠美と同じ髪質の髪がどこかから流れてきた風でさらりと揺れる。
「今から、裏口が開く。私はそれを信じている……」
「それは、一体どういう……」
彼女の言うことはどこか抽象的で、何を言いたいのかがよく分からない。
問いかけようとしたときだった。
「っ!」
視界が突然白く染まった。
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