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ベッドからのそりと立ち上がり、向かった先は冷蔵庫。
一人暮らし用のあまり大きくはない冷蔵庫から取り出したのは、ゼリー飲料。
最近の優介の朝食といえばもっぱらこれだ。
何もする必要がないから、とにかく楽なのだ。
温める必要もない、皿を洗うこともない。
面倒な朝には正に打ってつけ。
よくそれでお昼まで我慢できるねとは言われる。
実際のところ、かなり厳しいときもある。
空腹で腹と背中の皮がくっつくのではないかと思うときもあるが、慣れというのは恐ろしいもので少しずつ慣れてきている自分もいるのだった。
寝起きで喉が乾いていたせいもあって、ものの数秒でゼリー飲料を吸い付くしてしまった。
「ってやばい、もうこんな時間」
時計を見て、思わず声を上げてしまった。
そろそろ準備をしなければと慌て出す。
幸いなことに今日は寝癖もついていない。
顔を洗い、着替えると優介は急いでアパートを飛び出した。
母と紗英と暮らしていた頃が懐かしかった。
優介が実家を出てから、すでに二年のときが経っていた。
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