717人が本棚に入れています
本棚に追加
/702ページ
第九章 肉付きの面
『from 相楽珠美』
―――――――――――――――
悪いんだけど今日は用事があるか ら、行けないや。
―――――――――――――――
簡潔なその一文を見て、優介は携帯電話を閉じた。
ため息が思わず漏れる。
「どうだ?」
「……やっぱだめだった」
「そっか……」
肩を落とした優介に返事を返したのは、ドリンクのストローをがじがじと齧る友哉。
夏休みが始まって一週間目の今日。
じりじりと肌を刺すような夏の日差しの中、優介と友哉は駅前のファーストフード店で涼んでいた。
「やっぱ、避けられてる気がする……」
「いやいや、まだ分かんないだろ」
ほんとに用事があったのかもしれないじゃん?
ポテトに手を伸ばす友哉の慰めもほとんど耳には入らなかった。
奇声を上げながら優介はテーブルに突っ伏した。
何故こんなことになっているのか。
話は約一週間前に遡る。
最初のコメントを投稿しよう!