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第三章 夢と訪問
三連休二日目の晩。
優介は自室のベッドに寝ころんでいた。
昨日からカーテンも窓も開けていないせいだろう、部屋の中の空気はこもっている。
部屋の空気と同じように優介の気持ちもまたどんよりとしていた。
そう遠くない未来に死ぬと言われたのだ。
誰に相談していいのかも分からない悩みは、一人で抱え込むにはあまりにも重かった。
怖くて仕方ない。
こんなことなら……。
(知るんじゃなかった)
知らなければこんな恐怖を味わうこともなかったのに、と昨日から何度も繰り返し思ってしまう。
外に出れば危険。かといって家の中にいつまでもこもっているのも気が狂いそうだ。
それに部屋に閉じこもっていても窓を叩く音や開けろと言わんばかりの呻き声は防げない。
まさに八方塞がり。
どうすればいいのかが分からない。
苦しい。
助けを求められる人が誰もいないのが、こんなに苦しいことだとは思わなかった。
なんでも相談してきた友哉とも、昨日から連絡をとっていなかった。
昨日のことを謝ろうと携帯を開いては閉じる。
なかなか踏ん切りがつかない自分が、女々しくて嫌になる。
そういえば、友哉にキレたところを珠美に見られてしまった。
申し訳なかったな……と今になって思う。
本当に、彼女には情けないところばかり晒してしまっている。
(家まで送ってもらったりとか……)
普通は逆だろう。
そういえば。
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