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その後、幼女を抱えた老女に2人の兄上が気遣うように歩く後姿を見ながら歩いていたら、また不細工が話しかけて来た。
「あの2人、優しいわね。あぁいう正直な優しさ、私は好きよ」
『あぁ、他の兄上達はあまり好きじゃないが、私もあの2人は好きだ』
「・・・・・・・・じゃ、あんたと気が合うかもしれないわね」
マジか!という感じで口元が綻びかけたら、まだ続きがあった。
「但し、私、玉があるわよ」
そう言い残して不細工は老女の傍に走って行った。
不細工が言い残した言葉を反復する私。
"玉があるわよ" "玉があるわよ" "玉があるわよ" "玉があるわよ"……
何度言ってもこの事実は消えない。
また、心の涙が滝のようにでた。
誰も振り返らない廊下で、床に脱力する。そして、今後の事を考える私。
これは・・・・・・・・前途多難なのか?いや、言葉が違うな。
前途多難とは、これから先多くの困難や災難が待っているさまであって、逆に言えば、その困難を乗り越えれば何とかなるって事だ。じゃ、今の私の立場は何と言う表現が正しいんだ?!
誰も居なくなった廊下で出した答えは・・・・
"もうお前はすでに死んでいる"
どこぞのアニメみたいな文句が頭に浮かび、屍となったアラン。
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