おっさんの事情とおっさんの心情

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ふいにさっきまで煩かったジャスミンが、静かになってるので気になってそっちを見たら、顔を真っ赤にさせていた。 怒りで頭に血が上がったかと思って、謝罪を込めて声を掛ける。 『お前には、そんなゴテゴテしたアクセサリーよりも、こっちがいいんじゃないか?』 そう言って手前にあった、指輪を取った。 この国の特産であるルキアという群青色の石を使った指輪だ。 光の加減で紫に見えたり、緑に見えたりと色が七色にコロコロと変わる綺麗な石である。 フォールンの輝きに似ていることから、別名"星の乙女"と言われている。 通常は群青色で落ち着いており、男がつけてもシンプルで嫌味が無い。 未だ無言のジャスミンに、やはり好みじゃなかったか…と思い、もとの位置に指輪を戻そうとしたらその手をガシッと握られた。 地味に痛いぞジャスミン。 「・・・そう思うなら、それ買ってよ」 どうやら、お気に召したようだ。 店主に言って、その指輪を買ってやる。 その時、店主にこれがこの国の名産だと聞いたジャスミンが、またアクセサリーを見だした。 『何だ、まだ買うのか?』 「おタネちゃんにも、同じものをお土産で買ってあげようと思って、ねぇどれがいいと思う?」 今度は本当に相談してくれたので、一緒に選んでやった。
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