34人が本棚に入れています
本棚に追加
色々教えてやる。覚えろ
あれから、街で人気ナンバーワンと言われてる食堂に来ていた。
「お昼前だというのに、結構、混んでいるんだな」
ジーク兄上が、ちさとを気にしながらそう言うと・・・
「この程度、まだましな方です。昼はこれ以上と聞きます」
そう言ったのは、もう一人の護衛のケインだ。この男も兄上の部下で、兄上の次に剣の達人である。
暫くすると料理がやって来る。それをちさとに食べやすいように小分けしていくジャスミン。
お利口さんにフォークを持つちさとに、ジーク兄上から手が伸びた。
「フォークの持ち方はこうだ」
そう言って、変な持ち方をしていたフォークを正した。
目を瞬かせるちさと。
そんなちさとに兄上がまた男前にこう言った。
「色々教えてやる。覚えろ」
そう言われて、正しく持ったフォークで皆の食べ方をまねるちさと。
「それでいい」
兄上が優しくちさとの頭を撫でた。
撫でられた頭を不思議そうに自分で触るちさと。
どうやら、撫でられることに慣れていないようだ。
それが分かって、また胸が締め付けられた。
最初のコメントを投稿しよう!