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『わかりました。クリス達、余計な面倒をかける』
「いえ、面倒など。アラン王子のルートを貸していただけるなら、こちらとしては大助かりです。では、参りましょうか」
クリスとケイン、私と従者ジャンの4人でまこ殿の捜索を開始する。
但し、ジャスミンが馬に乗れない為、ある場所まで馬車移動である。
「ねぇ、さっきのルートって何?」
ルートという言葉が気になったのか、馬車内でジャスミンが聞いて来た。
王子として自慢できる事ではないが、別に隠す事でもないので簡単に説明してやる。
『商人同士のパイプを使うんだ。商売人ほど鼻が利く奴はいないからな。常にいい話はないか目を光らせ、耳を澄ましてる。そんな商人を全て纏めている元締めが、私の母の実家だ。城を出る前に伝書を送っておいたから、すぐに動いてくれてるだろう。"時間は金なり、人脈は金脈なり"。これは商家でよく使われる家訓だ。国に諜報部が無かった時代から、その家訓を徹底的に守ってきた商人達の情報収集は侮れない。尤も、自分達の諜報機関が一番と思っている兄上達は、このルートは使わないがな』
私の話を聞いて、ぽか~んと口を開けたジャスミン。
王子として、これは自慢にも何もならない事だと思っていたが、どうやらジャスミンにとったらこっちの方が凄い事だったようだ。
ないない尽くしの私にもジャスミンに自慢できる事があったようで、少しほっとした。
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