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『お爺様、母上、大変ご無沙汰しております』
「アラン王子、お元気そうで何よりでございます」
2人がそう言って、深々と頭を下げた。
血は繋がってるとは言え私はこの国の王子で、母親達は裕福とはいえ一般階級の民だ。他人行儀なこの線引きは仕方ない事だった。
『母上に紹介したい人間も居るのですが、時間がありません。早速上がってきている情報を見せて頂けますか』
ちらりとジャスミンを見てそう言うと、お爺様達の視線がジャスミンに向いた。
ジャスミンが会釈だけする。お爺様達もそれにあわせて会釈だけで返した。
全員が応接室に通されて、座ると同時に何件かの有力な情報を見せられる。
「東地区の商人から同じような情報が幾つか入って来ていて……」
そう言って渡された物を見て、眉間に皺が寄った。
読み終えたものをクリス達に渡す。
「ガルドラですか・・・・」
クリス達はそう言って、私と同じように眉間に皺を寄せた。
報告書の中に、東地区に2,3日前から滞在してるという団体がいて、商人を装ってはいるが仕草や喋り方が商人の立ち振る舞いではなかったと書かれていた。怪しく思って聞き耳をたててたら、ガルドラ独特の隠語があったのだとか。
商人にとってガルドラは天敵。
そして、警戒していたところに今回の乙女のかどわかし。
商人の勘が、こいつ等で間違いないと書いてあった。
『お爺様、この情報を貰ったミッシェル商会に今からそちらに行くと伝書を送っておいて下さい』
「わかりました。……殿下、どうかお気をつけて」
すぐに私たちは母の実家を出て馬車で東地区に向かった。
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