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我々と別れて暫くして、前を行く馬車の荷が崩れて石畳の道路に散乱。
それでジャスミンの乗った馬車が止まったのだとか。
祭りのため人の通行量も多く、Uターンするという事ができなかった為、仕方なく散乱した荷が収拾されるまで待つ事に。
だが、あいつは待たなかったという。
何故なら奇しくもそこが、まこ殿が居なくなった場所だったからだ。
「現場百回。ちょうどいいから、荷の収拾がつくまで私は現場をちょっと見て来るわ!」
そう言って護衛の了承も得ずに外の飛び出したというバカ。
護衛の自分達も、慌てて外に出たという。
外に出たあいつがまず気になったのが、広間にいない大道芸人達だった。
「大道芸は今日はお休みなの?」
動物が暴れた責任で許可が取り消されたと説明すると、「なるほど。確かに安全管理云々に問題があれば即停止よね……」と呟いたらしい。
今度は広場の中心にある噴水に近寄って、そこから辺りを見渡しジャスミンがこう言ったという。
「ねぇ、人を攫うのに馬車を使ったのなら、たかが荷が散乱しただけでもあんな風なのに、動物や人が混乱してる時に馬車って動くものかしら?」
ジャスミンに言われて自分達の馬車を見てみれば、さっきも言った通りUターンもできない混雑ぶり。
その瞬間、攫った人間を馬車に詰め込んで逃走したという事に矛盾が生じたという。
私とジーク兄上の顔が同時に引きつった。
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