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こうして最後まで二人で花火を堪能し、もちろん、途中からは魔法都市の話で盛り上がり、仲良くなって終わりを迎えた。
「じゃ、後でな」
「うん」
二人でゲームのIDを交換し、手を振って別れた。が、何か大いなる野望を忘れている気がする。
「むふふっ。見ちゃった。中林君って橋本君と付き合ってんの?」
「な。馬鹿言うな」
一体どこの誰がそんなことをと見ると、はぐれてしまった由衣だ。なぜか手には大きな綿飴をもっており、にやにやと笑っている。
「由美。いたの?中林君」
でもって、途中で由衣が手を振っていた近藤麻未まで一緒にいる。慶太はもうどぎまぎだ。
「いたいた。ねえ、麻未。今、超萌えるシチュエーション見ちゃった。今度の夏コミはこれでいこうよ」
「え?いいけど。まさか中林が誰かと付き合ってんの」
「そうよ。それがイケメンの橋本君なの。もう、最高に萌えるわ」
「ああ、なるほど。中林、詳しく教えろ」
「ええっ」
そしてこの日、慶太は由衣と麻未が腐女子と呼ばれる人種であることを初めて知り、こうして初恋は人混みと共にどこかに流れていってしまったのだった。
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