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残された想いの向かう場所
吹き付ける風、強く飛んでくる雪
野草と花畑を見るために山を訪れた帰りに巻き込まれてしまった
一緒だったはずの仲間の姿を探すも、その時には私は一人だった
ローラ「メアリー!!サンドラ! どこにいるの?
皆‥」
大きく限界まで声を張り上げて叫ぶ
なのに一向に返事は返ってこない
ただ、強い雪と風音の他には私に届くものはなかった
私は完全に皆とはぐれてしまったのね
周りにはもう彼らはいない
ここに立っているだけでは寒さに体温を奪われるだけ‥防げるところに行かなければ
寒さに後押しされるように風に吹き飛ばされぬ
ようゆっくりと下に降り始めた
ローラ「寒い‥いつになったら辿り着けるのかしら。もしかしたら私は‥‥」
後先が分からない不安から自然と声が洩れる
風に吹かれて凍えた体を擦り、なんとか温めながら命を繋ぎ止め 歩みだけは止めずにいるだけで私には精一杯だった
ローラ「お願い‥どうか見つかりますように」
ただそれだけを祈り前へと進み続けた
どれくらいの時間が経ったのか分からないが段々と建物の影が近づいて見える
そこに辿り着こうと体を必死に動かして前へと進むが思うように体は動かなくて悔しい
ローラ「ハア‥ハア‥やっと建物がこんなに近くに見えたのに私、もう無理かもしれないわ
もう動けないの‥あぁ残念。皆ごめんなさい」
歩き続けてやっと建物を見つけたのに私の足はもう歩めるだけの力を残していない
「ドサッ」
そのまま前に倒れこんでしまって、そこから先に進めなかった
幸いなことに雪がクッションになってくれていて打撲はしなくてすんだ
それでも凍え死ぬ他に私には選択肢は
もう残されていない
ローラ「ここまでなんてね‥皆にまた会えたら
よかったのに‥眠いわ」
◆
◆
◆
◆
「パチパチ」
よくわからない音が聞こえる
私は死んだのかしら
とても冷たい雪と風にやられて
薄く目を開けて辺りを見回すが薄暗いだけで目には何も映らない
ぼんやりとした頭ではなにもかも曖昧で
??「あっ起きた!! あの大丈夫ですか?」
ローラ「きゃあ!‥だ、誰です?貴方は」
あんまりにも突然 目の前に見えた女の子の顔に
私の心臓の鼓動は跳ねてしまって声があがる
エマ「わ、わ‥ごめんなさい!!驚かせちゃいました?‥私の癖でつい‥私はエマ っていいます
よかった間に合って」
驚いている私とは裏腹に安心したように呟くエマさんにつられて何だか私まで暖かくなれるような気がした
ローラ「私を運んでくれたの?一体誰が?」
それに温かい毛布までかけてくれた人
とても優しい人がここにはいるのね
エマ「うん、私には重たくて持ちあげられなかったんだけど‥」
??「さっきの声聞いてびっくりしたけど
ふ~ん、起きたんだ。よかったね」
??「随分と可愛らしい声ですね、お嬢さん
目覚めたようでなにより」
??「少しは静かにすることを覚えてほしいものだな。ま、いいけど」
??「お、起きたのか!大丈夫か?
思ったより元気そうでよかったよ」
エマの言葉を遮るように多数の人の声が上から私に向けて話しかけられて戸惑いを隠せない
ずっとエマただ一人が私のそばにいてくれてこともあって、こんなに人が上にいたなどと知らず
大きな声をあげてしまった自分が恥ずかしい
ローラ「‥‥何方か分かりませんが外で倒れていた私を運んでここまで連れてきて下さったこと感謝しています。ありがとう」
??「よかった よかった、無事目が覚めたようじゃな。今宵は集まったのはこの六人らしいぞ」
エマ「モブ爺だー どこ行ってたの?
これで六人だね」
モブ爺?初めて聞く名前‥誰なのかしら
ローラ「モブ爺?それに皆さんは‥‥」
モブ爺「おおそうか、おまえさんには自己紹介をできておらんかったか。
わしゃあ、モブ爺と呼んでくれて構わんよ」
モブ爺「それに外はもう暗い。今夜は自由に過ごしてくれて構わんから自己紹介でもしたらどうかのう?
それでは、また明日」
自由‥そしてこの人たちと一夜過ごすのね
それにしても何だかとても疲れてしまったわ
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