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クリス「関わることは ほぼないだろうが一応
俺はクリスと言う。短い間だがよろしく頼む
これで先に失礼させてもらうよ」
話すことだけ淡々と話をして、そのまま彼は上にあがってしまった。
とても冷たい人‥‥なにか私、怒らせることでもしたのかしら、それとも‥
でもいい印象はしないわね。ああいう人
出来るなら関わりたくない
いつの間にか挨拶だけだというのに私には彼への苦手意識ができていた
マイク「ほんっと愛想ないよな、あいつ
もっと楽しめばいいのにって
でも、こんなことになったら難しいか。
俺はマイク、よろしく頼むよ皆
悪いが俺も疲れたから先に部屋に戻る。またな」
彼は陽気?それとも明るい青年?でも、とても気遣いをしてくれる人に見える
もし明日もいてくれるなら話をしてみたい
フレディ「僕の名前はフレディだよ、よろしくねローラさん。君は優しそうだし、そこはいいと思うけど体調はまだ本調子じゃないって事だけは忘れないようにね
体って自分の方がよく見えてないってよくあるから‥じゃ、いい夜を」
ローラ「ご心配ありがとうございます
今宵はしっかり休ませてもらいます
フレディさんもいい夜をお過ごしください」
心配してもらえる。その暖かな言葉におされて
自然と笑みがこちらにも浮かぶ
この人に嘘 偽りはない。それは言葉と表情、態度から滲んでいて信じられると私でも思った
きっといい人なのね。
フレディ「ありがとう。明日には天気が良くなってるといいね。それと僕にはさんづけはいらないよ、呼び捨てで構わないから。じゃ、これで」
行ってしまった‥。でも明日も仲良くしてくれる人が初対面であれだけ心配してくれるなんて
明日が来るのが待ち遠しい
早くこの不安が終わること願ってくれるのだから
ジェイ「ふむ、残りは私だけのようだ
私はジェイと申します。以後お見知りおきを
お嬢様方。
今回はお互い不運でしたな、明日は無事にもとの場所に戻れることを願ってますよ
ローラさん、エマさん、私もこれにて失礼いたします」
深々とお辞儀をして去っていくジェイさんを見送る
残された身としては何だか ただ一方的な自己紹介で終わった気もするけれど
これでよかったのかしら‥
ジェイさん、クリスさん、フレディさん、エマさん、マイクさん。よし、名前は完璧ね
明日はもとの場所にきっと帰れるわよね
きっと‥‥
エマ「自己紹介しちゃったけど、よろしくね
ローラさん。あんまり遅くまでいると体に良くないし部屋に行く?私も行かなきゃだから」
初めてにしろ唯一の女の子、皆よりは話しやすい
いてくれるだけで安心感が心にあった
ローラ「ありがとうエマさん、とても嬉しいわ
貴方がいてくれてほっとしてる
女の子がいるだけで気持ちが少し軽くなったわ
それに‥私のことはローラって呼んでくれると嬉しいのだけど‥良ければでいいから」
唐突な申し出だからこそ受け入れて貰えるか分からず控えめに話しかけてみるとエマさんの顔は嬉しそうに綻んでいるのが見えて安心する
エマ「いいの?嬉しいなぁ
ローラよろしくね
私も貴方がいてくれてよかった
とても一人は怖かったから、ありがとう」
綺麗な笑顔だった
私も不安だったけれど貴方も
とても寂しかったのね
不思議と緊張することがない穏やかな雰囲気が漂っていた
ローラ「えぇ、行きましょうエマ」
その手を繋いで部屋までゆったりと歩く
それに合わせてくれる彼女はとても優しい子
ローラ「ねぇ、エマ。貴方はどうしてこんな山奥に迷いこんだの?何だか気になって
まだ子供なのに」
純粋な疑問ではあったのだけれど投げかけられた彼女はとても寂しそうで私はなにか間違えてしまったのではないかと不安に駆られる
エマ「そんなに頼りなく見える?何もできないような子供に。私はもう見てるだけの子供じゃないの」
問いかけられたエマは悲しげに言葉を連ねていて
私は自分が言った言葉でエマを傷つけてしまったことに心が痛くなる
子供‥なんて貴方に合う言葉じゃなかったみたい
エマはとっても強い子。自分が進むべきところを
ちゃんと見極めているのね
私とは違う
ローラ「大丈夫。心細いのよね
でも貴方はとても強い、そして誰よりも優しい
だからね、その願いはきっと叶うと思うの
私 応援してるわ。前に進めることを
おやすみなさい」
エマ「ありがとう‥そう言ってもらえたの初めてだった。とっても嬉しいなぁ
おやすみなさい」
閉める直前、綺麗な笑顔が私に向けられていた
なんて‥嬉しそうでいて悲しげな顔
貴方はすごく重いものを背負っているのね
初めから分かってあげられなくてごめんなさい
それに比べて私は何になりたいのかしら
ドアを閉めてからその場で考えてみたけれど答えは出ることはなくてため息が洩れる
私が考えたって分からないわよね
それにもう眠くて
ふんわりとした眠気が私を包んでいた
「バサッ」
ローラ「っ‥な、なに?」
この部屋には私しかいないはず
急な物音に恐る恐る周りを見渡すが特に変化は見当たらない
さっきと違うところ‥あんなところに本?
確かに違うのは床に本が落ちていることだけのように見える
ローラ「何だろう?本がなぜ」
勝手に落ちてくるなんて綺麗に見えて立て付けが悪いのね
床に落ちてしまった本を手に取りベットへ向かう
見ず知らずの部屋に本が備え付けられているなんて思わなかった
暇潰しができるなんて私はとても幸運みたいね
これで少しは落ち着くことができるかもしれない
と本を開き始める
本のタイトルは人狼ゲーム
表紙から世にも恐ろしい獣の姿が写されている
読む本選びを間違えたかしら‥
それでも興味がない訳じゃない
怖いもの見たさ、というものはあって心だけは高揚していた
でも、これが人狼だと言うの?
お伽噺と言われたらそれまでではある
けれど蝋燭を持ち闇と対峙するかのように険しい顔で見つめる市民と闇夜に紛れるようにおぞましい顔で立つ人狼
その様は人狼と市民が敵対していたのだとわかる
ページを進めていくにつれ、どちらも傷付いていって。その絵から生々しさが読み取れて自分に恐怖を植え付けていく
恐ろしさに身震いしそうだった
ローラ「もう眠らないと‥なんで読んだんだろう。閉じないと」
恐ろしさからパタリと本を閉じようとして違和感に気づく
頭では閉じたいのに手が、目が絵から離すことができない
?‥どうして、手が止まらない!?
本を閉じようと思っているのに何故‥
なにが起きて‥お願い、止まって!!
意思に体が従わないなんて事があるだろうか
どうして。
言うことを聞かない自分の体と格闘している間にページは進み続けて
彼らの物語も移り変わっていく
傷つき、血にまみれ、苦しみ、そして‥唐突にまっさらな紙へと行き着く
【貴方の本当の姿を確認してください】
私の本当の姿? なん なの?私はわたし
そんなものがあるわけが‥
【貴方の役職は藁人形です】
私は‥‥なに?
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私の事 理解しようとしてくれてありがとう
エマ「私のこと強いって、必ず夢に届くって
認めてくれたこと、とても嬉しかったの」
エマ「初めてだったよ。こんなに心に響く言葉があるなんて思わなかった
ありがとうローラ
だからね‥私の事を想ってくれたローラを守らせて」
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