プロローグ

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プロローグ

 「おまえなんかロクな死に方しないぞ!」  とオヤジに罵倒されたのは何歳の頃だったか。要は、ずいぶん小さいときからおれは悪さばかりしてきた。小さいときといっても、小さいときからおれはデカかった。幼稚園児のときに近所の小学生たちを見下ろしていた覚えがある。それからもデカくなり続け、高校二年生の今、身長は190センチある。まだ伸びてるが、さすがに2メートルは越えないだろう。というか、背は高いに越したことないがそんなにはいらない。  父親に罵倒されはしたが、おれは全然気にも留めなかった。だってそうだろう? 死に方? 死ぬときは一瞬なのだから、どんな死に方だって苦しみの程度に多少の差はあっても、結局たいした違いはない。  死に方より生き方がだいじだ。長い人生をそれなりに楽しめれば、死ぬとき多少苦しむことになってもそれくらいは甘受しよう。まあ、現実問題、このおれが長生きできる可能性など万に一つもないのだがな。  おれの名前は可美奈偉斗。カミというのが名字だが、中学でも高校でも悪魔と呼ばれている。中学では〈四中の悪魔〉、高校では〈カミ高の悪魔〉。ちなみに高校は上小林高校だから通称〈カミ高〉。通称がコバ高ならよかったのに。言いにくいから即却下か。  名字も高校名もカミなのにおれは悪魔。でもそんなの関係ねえ。どうせこの世に神なんていねえんだから。  ずっとそう信じてた。そう。七月のあの気が狂うほど蒸し暑かった日に、阿熊梓と出会うまでは――
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