0人が本棚に入れています
本棚に追加
急に見えたのは白い布のようなもの。思わず驚いて大声をあげて、椅子から飛びのいてしゃがみ込む。
びっくりした・・・お化けでも見たのかな・・・。そう思いながら恐る恐る顔を上げる。するとそこには、誰もいない。
ゆっくり窓際に近づき窓を開ける。すると、
「さつきちゃんだいじょーぶ?」
「わっ、・・・大神くん、どういうことかな? あと、弥生先生って呼ぼうね?」
心配半分いたずら半分っていう笑みを浮かべて窓の下からひょっこり姿を現したのは、袋入りのかき氷を持った大神大我くん。
この学校の保健委員の3年生で、5日前の運動会の練習中に腕を骨折して今日は救護テントで見学兼、名護先生のお手伝いなはずだけど、何故だかここにいる。それと、お化けかと思ったのはどうやらギブスである。びっくりさせるなぁ。
「え、正門の前でかき氷売ってたから、さつきちゃんも食べるかなって」
「そういうことを聞いているんじゃなくてね? 勝手に学校の外に出ちゃダメだし、大神くんは名護先生のところでしょ? あと、せめてさつき先生って呼びなさい」
「えー、だってどうせ向こう仕事ないし、なごっちつまんないし、さつきちゃんがいい」
まったく聞く耳を持たない大神くん。私は舐められているのか、相変わらず呼び方は変えてくれない。
まったく。というわけで、ピシャリと窓を閉める。忘れずにカーテンも。
直後、ドンドンと窓を叩く音。はぁ。
最初のコメントを投稿しよう!