黒髪

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 半刻前   咽せ返るような空気の中、僕は必死に自転車を漕いでいた。  自転車を降り、駐輪場に入ると駅に近い左側の通路には「満車」の立て札。 『今日もか』  仕方なく駅とは反対側の方に歩いていく。  中々空きが見つからない。  これは2階に行かないと駄目か?  と思っていたところに、隅っこに1台の空きスペースを見つけ自転車を入れる。  電車発車まで後2分。  少し早足で駅に向かう。  駅の前にある(くすのき)夢来鳥(むくどり)が群がり、悲鳴を上げている。  それを横目で見ながらエスカレーターの階段を駆けるように2階へ登っていった。
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