黒髪

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「せんだい~ せんだい~」  10分ほどあれこれ迷っていると終点に到着してしまった。  押し出されるようにホームに降り、改札に向かうエスカレーターに乗ると、僕の目の前には彼女がいた。  エスカレーターでゆっくりと登っていく。  ・・・・・・ゆっくりと登っていく。  時が止まったかのようにゆっくりとゆっくりと・・・・・・  彼女の黒髪は電車で後ろから眺めているより距離が近い。  電車で見たものがまた蠢いている。  しかし、気がつかないのだろうか?  後ろ髪引かれる思いとは正にこのことだ。
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