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二時間ほどして、練習が終わった。
女子たちが、「マネージャーにしてください!」と、中須藤に詰め寄った。
「しまった、出遅れたわ。エリリン、先に帰ってて!」
「え? 真帆ちゃん、マネージャーやるの?」
「もちろん!」
エリリカは、一人取り残された。
「ボール持ってみない?」
長身の男子が声を掛けた。
「え? 私ですか?」
将人が、ボールを片手に、立っている。
「あはは、む、無理ですよ。私、運動音痴なんで、転んじゃいます。あはは」
エリリカは、照れて誤魔化そうとした。
「あれ、偶然じゃないよね。久多良木さん」
ーゲ、感づかれた?
「イヤあ、たまたま顔が痒くて、掻こうと思ったところにボールが」
「隠さなくていいよ。中学空手、ナンバーワンの実力」
ーガーン。バレてる。
エリリカの冷や汗が止まらない。
「い、いやあ。同姓同名っているもんですね。困るな、人違いは。アハ、アハハハ」
「はは。面白い人だね、久多良木さん。なかなか、いないと思うよ」
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