壱 高校デビュー、エリリカ!

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 二時間ほどして、練習が終わった。  女子たちが、「マネージャーにしてください!」と、中須藤に詰め寄った。 「しまった、出遅れたわ。エリリン、先に帰ってて!」 「え? 真帆ちゃん、マネージャーやるの?」 「もちろん!」  エリリカは、一人取り残された。 「ボール持ってみない?」  長身の男子が声を掛けた。 「え? 私ですか?」  将人が、ボールを片手に、立っている。 「あはは、む、無理ですよ。私、運動音痴なんで、転んじゃいます。あはは」  エリリカは、照れて誤魔化そうとした。 「あれ、偶然じゃないよね。久多良木さん」 ーゲ、感づかれた? 「イヤあ、たまたま顔が痒くて、掻こうと思ったところにボールが」 「隠さなくていいよ。中学空手、ナンバーワンの実力」 ーガーン。バレてる。  エリリカの冷や汗が止まらない。 「い、いやあ。同姓同名っているもんですね。困るな、人違いは。アハ、アハハハ」 「はは。面白い人だね、久多良木さん。なかなか、いないと思うよ」
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