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胸がざわざわする。
「あー。その写真、里佳も気づいた?」
同僚の子が、話しかけてきてはっとした。
「え? う、うん」
「大胆よねえ~。高校の同級生だって」
「へ、へぇ…」
高校の同級生だったんだ。
「卒業式の時に友達が隠し撮りしてくれた1枚なんです~って言ってたわ」
「…ふーん」
「でも確かに可愛い子よね」
「うん」
可愛いよ。
私が、好きになっちゃうくらい…。
「あたしらの歳にはありえないんだろうな~」
ありえない?
「なんで?」
「だって5つも上って言ったら、オバサンだよ~? ないって!」
「…そう、…かな…」
「年上に憧れることがあっても、すぐ飽きそうじゃない?」
悟くんも飽きるのかな?
バイト増やしたのって本当…だよね?
いや…。やだ…。疑いたくないのに…。
「里佳? 顔色悪いわよ?」
「ごめ、…私、ちょっと」
「なに? どうしたの?」
「…生理痛…」
「我慢してたの? 痛いなら、帰りなさいよ」
「平気…。ちょっと休めば大丈夫…」
「大丈夫じゃないでしょ!」
帰らないと言い張ったのに優しい同僚のおかげで私は、半休を取った。
仕事もピークは、すんだし体調が悪いなら帰りなさいと上司にも言われ、
まだ外が明るい時間に帰ってくることなんて、滅多にない…。
駅まで向かう道を同世代のサラリーマンが行き交う。
人混みから少し離れ、力が抜けたように蹲った。
そしたら咳を切ったように涙がぼろぼろあふれて止まらない。
あぁ… 私、ずっと不安だったんだな。
不安だったけど我慢してたんだな…。
涙を拭いて立ち上がろうとした私に声をかける人がいた。
「赤城さん?」
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