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「これ、ニコルスの遺品。お師匠が、持ってた」
花言葉の綴られた本。
しおりが挟んであるところをみると、ここを開けということか。
ページを破らないよう、大切に、そっと開いた。
そこにあったのは、バラの花々の花言葉。
赤……、白……、黄……、そして、橙。
「橙……信頼や絆」
かすれるヴァフィラの声に、ルドーニが補足を加えた。
「オレンジ色のバラは、家族へ愛情を示す時に贈る色、だそうだ。お茶の時は、いつもオレンジ色のバラが飾られてたろ? 損得抜きの、家族に対する純粋な愛情を、ニコルスはヴァフィラに持っていたんだよ」
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