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「えぇ? あの時のお前と来たら……」
何とかヴァフィラの気を引こうと、浜辺で拾った美しい貝だといって差し出されたものの中からは、死んだヤドカリがでろんと出てきたし、今流行っていると歌って聞かせた歌は、エロい暗喩の散りばめられた大人のものでニコルスを慌てさせた。
「もしそうだとしたら、先生もとんだ人選ミスを。ニコルス先生にも、失敗というものがあったのか」
「ヴァフィちゃん、それはひどい!」
冗談だ、と笑うヴァフィラ。
その笑顔は、今までより少し明るいような気がする。
こうやって少しずつ、ニコルスの話題を二人で共有しながらその死を乗り越えていければ、とルドーニは思った。
オレンジ色のバラの花の下で。
ニコルスの加護の下で。
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