嫉妬

1/1
2032人が本棚に入れています
本棚に追加
/59ページ

嫉妬

 テレビの中で、エヴァンが爽やかに笑っている。最近放送されているシャンプーのCMだ。汐月はぼんやりとそれを眺める。  シャワーを浴びるエヴァンが映る。彼の肌を滑る水を追うようにカメラが動き、徐々に下がっていく。  割れた腹筋、引き締まった身体を、こんなふうになれたらいいなあ、と眺めていると、突然目を塞がれた。 「見るな」  ソファの背もたれの後ろから、リアムの声がする。 「シヅキには刺激が強すぎる」 「リアムは俺を何歳だと思ってるの?」  苦笑してリアムの腕に触れた。  テレビからの音が変わり、リアムの腕が外れる。CMは終わっていた。  リアムが身をかがめる。彼の腕が外れたかわりに、今度は唇を塞がれた。 「ん……」  甘えるように何度も吸われて、汐月はリアムの頭に手をやる。柔らかな髪を混ぜるように撫でた。
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!