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「ずっと好きだった。シヅキを傷付ける奴は殺したくなる。俺の親友だとしてもシヅキが俺以外の名前を呼ぶだけで苦しい」
リアムが大きな手を汐月の頬に当てた。親指で優しく撫でられる。
「密室に二人だけになると理性が切れそうだから、シヅキの部屋に行かなかったし、俺の部屋にも呼ばなかった。でも、今シヅキが俺の部屋にいて、我慢できそうにない」
リアムは使っていないほうの手で汐月の手を取り、自分の頬に当てさせた。頬を擦り寄せてくる。
「シヅキの帰国に合わせて、元から持っていた日本にある会社に行くことを決めて、そのために最近は準備をしていた。準備のために会えなくなるのは仕方がないと思ったが、シヅキが俺を避けるようになって、気が狂いそうだった」
手のひらに柔らかな感触がした。リアムが形の良い唇を当ててくる。
「シヅキが俺を拒んでも、もう離せない」
熱を孕んだ瞳が愛しいと伝えてくる。
どくどくと痛いくらいの心臓の音がする。まるで夢みたいで呆然としていたが、泣きそうになってぎゅっと眉間に力を入れた。
震える息を吐き出し、ゆっくりと吸ってから口を開く。
「エヴァンのほうが特別でしょ? って、そう言おうとしたんだ」
少しずつ自分の想いを溶かすように口にした。知られたくなかった独占欲をリアムに晒す。
「リアムを避けたのは、俺以外にも特別な人がいることを知ってショックを受けたから……。俺がリアムの親友だと思ってたんだ……でもあんなに人気で格好良い親友がいて、俺はリアムとは住む世界が違うって実感した。きちんとリアムの誕生日さえ祝えない自分が嫌になって、こんな俺はリアムに優しくされる価値はないって思って……」
リアムは首をゆるく振ったが、黙って汐月の言葉を待ってくれる。
「でも、それでも、リアムの一番特別な存在になりたかった」
目の前が滲んでリアムの輪郭がぼやけたが、しっかりと愛しい顔を見上げた。
「俺もリアムが好き。諦めようとしたけど、諦められなかった」
一拍置いてリアムに抱きしめられた。嬉しさを爆発させたかのようにぎゅうぎゅう抱きしめてくる。
汐月も抱きしめ返して今度はしっかりと応える。喜びに涙が頬を濡らした。
「諦めてくれなくて良かった」
しばらく抱き合ってからリアムが声を零し、吐息が触れるほど顔を近づけてきた。甘えるように鼻を擦り寄せてくる。
「そろそろキスをしてもいいか?」
二人きりの部屋に落ちた声に、汐月は小さくうなずいて瞼を下ろした。
きっと今、顔が真っ赤になっている。
「シヅキ、愛している」
囁いたリアムの唇がすぐに降ってきて、汐月の唇を覆う。唇も、身体も、涙も、すべてが熱い。
抑えきれない愛しさと幸福が、汐月の胸を満たした。
END
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