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(スピンオフ作品のキャラが出てます) スピンオフ作品▶ https://estar.jp/novels/25532852 「いま、ケンの声が聞こえた気がする」 「幻聴だ」  エヴァンは至極真面目な顔で部屋の中を見渡した。それを気にせずに、リアムは雑誌のページをめくる。 「はあ……電話したい」 「すればいいだろ」 「日本はいま深夜だぞ。迷惑だろ」 「じゃあ我慢しろ」  親友コンビの会話を聞きながら、汐月はコーヒーの入ったマグカップを机に置いて、リアムの隣に座った。すぐに隣から肩に腕が回され、身体を引き寄せられる。  正面のエヴァンと目が合う。美しい瞳がじっとこちらを見つめるので、「どうかした?」と聞こうとした。が、先にエヴァンが口を開く。 「汐月、ちょっと俺の名前を呼んでくれないか?」 「だめだ」  すぐにリアムが答える。 「できればケンの声に似せて」 「だめだ」 「えっと……」  困ってリアムの顔を窺うと、彼は「相手にしなくていい」と首を振った。 「冷たいな。俺はおまえが汐月汐月言ってる時に、話し相手になったのに」  エヴァンが肩をすくめる。 「汐月に避けられて食事も喉を通らない時、慰めてやったのはどこの親友だ?」 「おい、シヅキの前でその話はしない約束だ」 「ああ、口が滑った」  エヴァンがわざとらしく汐月にウインクをした。爽やかに、そして悪戯っぽく笑う。  汐月はこれが彼らのじゃれ合いだと知っているため、軽く笑いながらコーヒーを飲む。今日も仲が良さそうだ。
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