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宝石を護衛しろ その6
探偵は、ネットを調べた。
ゴールド・アイが引っ掛かるように、網の目の大きさが調整してある。
「ダストシューターの出口付近に張り付けておき、括り付けられた長い糸を下から引っ張って引きずり出せるようになっている」
ケーナの重さには耐えきれず、はがれて落ちた。
女は、鍵のかかる部屋に入れられて警備員に監視されることになった。
香港に着いたら警察に引き渡す予定だ。
ゴールド・アイは、無事に夫妻の手元に戻った。
「本当にありがとうございました。あなた達は、ゴールデンコンビです」
夫妻にとても感謝されて、気分良く香港で降りた。
このあとは、飛行機で日本に帰る。
夫妻は、香港の知り合いの宝石商にゴールド・アイをメンテナンスに出すことにした。ゴミにまみれて、そのまま身に着ける気にはならないそうだ。
探偵とケーナは、次の就航地に向けて港を離れていくプリンセス・ヒポポタマス号に手を振って見送った。
「さよなら、プリンセス・ヒポポタマス号! さよなら!」
行ってしまった。
「とても楽しかった」
「あっしはちっとも楽しめなかった」
「また、乗りたいな。今度は仕事じゃなく」
「また乗りたいね。今度は旅行として」
真逆の感想なのに、同じ希望。
「フ、フフフ……」
「ハ、ハハハ……」
お互いに顔を見合わせて、ひとしきり笑った。
「さーて、香港に来たことだし、担々麵でも食べて帰るか」
「じゃ、私は冷やしたぬきうどん! と言いたいところだけれど、香港になさそうなのでワンタン麺にします」
食事の趣味は、やっぱり合わなかった。
終わり
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