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トマトジュース
「大変、お待たせいたしました」
マスターが作り直したトマトジュースを院長先生の前に置く。
わざわざ作り直したトマトジュース。どんな味がするんだろう?
なんだか、ドキドキする…。
院長先生は一口飲むと、ポツリと言った。
「この味が、飲みたかった…」
とても嬉しそうな顔で。
少しだけ、寂しそうな声で。
「…これで、心残りは無くなった。ありがとう、イツカちゃん」
院長先生が、わたしに笑いかける。とても優しい笑顔で。
「イツカちゃん。君は背負いすぎる。…自分の人生を生きなさい」
そう言い残すと、院長先生は去ってしまった。
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