この大都会の、ものスゴい人ごみの中で……

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この大都会の、ものスゴい人ごみの中で……

 今日もまた、スゴい人ごみ、大都会。  そんな大都会の、ものスゴい人ごみの中で、好きな彼女に、バッタリ! 「あッ! おはようございます!」 「おはようございます!」 「この大都会の、ものスゴい人ごみの中で、君とバッタリ会うなんて……、もう、運命だねッ!」 「いえ、偶然です」 「いや、運命だって!」 「たまたまです」 「えっ? "玉玉(タマタマ)?」 「いえ、"玉玉(タマタマ)"じゃなくて、たまたまです」 「それを運命って言うんじゃないのかい?」 「それを偶然って言うんですッ!」  このまま議論を続けても、水掛不動(みずかけふどう)さんになる……、じゃなくて、水掛(みずか)(ろん)になるだけだ。これじゃ、彼女との建設的な未来、二人の明るい将来の話が出来ないじゃないかッ!  僕は、そう思い、気持ちを切り替え、落ち着いて、彼女に、僕との運命に気づいてもらおうと、違う質問を投げ掛けることにした。 「じゃあさ~」 「はい」 「もし、同じ状況で……、つまり、この大都会の、ものスゴい人ごみの中で、バッタリ!」 「バッタリ~ッ?!」 「あなたの大好きな芸能人にバッタリ会って、『運命だ!』って言われたら……、それは?」 「間違いなく『運命』です!」 「だよね~ッ! で、僕とはッ?」 「『偶然』です!」 「だ、だよね~! アハハハハ……。こうなっちゃうのは、『運命』、じゃなくて、『宿命(しゅくめい)』かな~?」 「『宿命』、ではなくて、『宿便(しゅくべん)』です!」 「だ、だ、断定?! だ……、だよね~~~ッ! アハハハハ~……ぁ、……。そこまで言われちゃうんだね……、アハハハハ……。もう~、言うよね~~~ッ!」  僕は、これからの人生、勘違いすることなく、謙虚(けんきょ)に生きようと、心に誓った……。
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