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「ごめん、梓ちゃん。気持ちは嬉しいけど私まだ……」
ロッカールームで制服を片付けながら呟く私をよそに、彼女は靴入れから10cmはあるだろうハイヒールを出してきた。ヒールにはピンクのスワロフスキー。お世辞にもアラサーの私には厳しい一品のそれをぐいと押し付けてくる。
「36回払いで買ったハイヒール貸します。先輩悔しくないんすか。私は悔しいっすよ。元々合わないとは思ってたけど、あんなに尽くしてたのにあんまりだ。別に私がボコってやってもいいんすけど」
「わっ分かった! 借りるよ」
言わされてしまった形に近いが、梓ちゃんはやっと満足げに頷くと、控えめなネイルを煌めかせ親指を立てた。
「グッドラック。先輩に幸あらんことを」
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