雨の日の窓 雪の日を思う

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 雨の降り方も  雪の降り方も  場所によって  景色によって  年によって  違うけれど  水、及び氷の集まりは  少なくとも一度は経験した  雨、雪の日々  を蘇らせる力を持つ  それは、雨が流れて  川に流れて  海に流れて  蒸発して  雲になって  また雨になる  その循環と同じなのかもしれない  あの日、雪と故郷について話した子達とは、しばらく会って話せていないけれど、きっとまた、どこかで会って話せるだろう、と思う。  人との出会いというものも、人生というものも、水の粒たちと同じく、循環していっているのだから。  今降っている雨も  どこかで会ったことのある  水の粒たちかもね  ――あれ、晴れてきたみたい  それじゃあ、またね。  私は、心でそうつぶやくと、傘を閉じて「ВХОД(入口)」と書かれたドアを開けて、寮の中へと消えていった。
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