人ごみという空間で

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"ピーピーピー" 目覚まし時計で目が覚めた。 アラームを止めると同時に時間を見ると、デジタル時計には "37:53"と表示されている。 「壊れたの?この間買ったばっかりなのに!」と、怒りながら呟いた。 彼女は支度して家を出て仕事に向かった。 いつも仕事に行くときに必ず通る大きな交差点。そこをいつものように通ったとき、前から走ってくる男の人におもいっきりぶつかった。 「もう、なんなんだよー。」と思いながらぶつかった人を見た瞬間、周りに歩いてる多くの人が、まるで映画のワンシーンのようにスロー再生されてるように見えた。 スーツを着て歩いていると若い男性。朝帰りの雰囲気を漂わせている20代前半の女性。不機嫌そうな顔をしているおじいさん。今にも泣きそうな顔をしている中年女性。そんな人たちが私の目にゆっくりと見えている。 その瞬間、「私はこの人ごみの一部。何億人といるこの地球のなかのほんの一部。私は毎日はこの交差点を通って、つまらない仕事行き、夜まで仕事をし、帰って寝て、また次の日も同じ事の繰り返し。私は何をしているのだろう。」 彼女はこのさえない生活に嫌気を感じた。そして、交差点を渡り終える直前で「仕事やめよう!」と思った。 彼女はその日仕事を辞め、昔からの夢だった海外に行くことにした。 この交差点はなにか不思議事が起きる場所なのか、それともぶつかってきた男の人が人の人生を変える不思議な力を持っていたのか。それとも人ごみという空間に何か不思議な力があったのか。
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