初デート

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「はい、こんにちは。高山ノボルです」 「こんにちは、箕面カエルです。ほな、さいなら」 「もう帰るんかいな。せわしないな。なんやねんなもう」 「用事があるんや」 「漫才の仕事ほっといて、用事ってなんやねん」 「あんな、秘密やで。これは。絶対誰にもいうたらあかんで」 「えらいもったいつけるな。国家機密かなんか?」 「なんで俺が国家機密の話するねん。俺がソ連のスパイかなんかに見えるか?」 「ソ連はもうないで。だいぶ前になくなった。知らんのか」 「知ってるけどな。ソ連がなくなったぐらい。それであれができたんやろ。あれ」 「あれってなんやねん」 「アシカやろ」 「ロシアや。ロシア。シしか合ってないし。だいたいアシカは哺乳類やんけ。鼻の上でボール回したりするやつや」 「いつもよりいっぱい回してるやつやな」 「染之助・染太郎師匠やんかそれは。師匠ももう亡くなってはるし。もう秘密とかええから、その用事の話して」 「あんな、娘がな今日初デートやねん」 「ほう、それはめでたいやん。あのアシカみたいな子でも、彼氏できたんや」 「誰の子供がアシカやねん。なんで胸ビレで拍手せなあかんねん。ちゃうわ。初めて彼氏ができたから、今日デートするんや。ナンバで」 「まあええわ。彼氏ができたと仮定しよう」 「仮定の話やない。現実や」 「ほんならなんで、君に用事ができるんや。娘がナンバで初デート。めでたい。赤飯炊いてもええわ。ああそうか。今から小豆ともち米かってきて赤飯炊くんやな。後にして。そんなん。漫才終わってからで十分間に合う」 「赤飯炊いてる場合やないやろ。娘の初デートやで。ちゃんと付いていって、見張っとかんと何するかわかれへんで」 「何するかわからんって、デートやんけ。水族館でアシカショーでもみて、茶飲んで、飯食って、カラオケでもいって帰ってくるんちゃうか?」 「なんでアシカショーやねん。水族館じゃなくてもええやんけ。初デートやろ。フェスでええやん、フェスで」 「フェス!君からフェスなんて言葉がでてくるとは思わんかったな。ジュズとかならわかるけど」 「誰がジュズやねん。俺だってフェスぐらい知ってるわい。フェスの一つや二つ行ったことあるわい」 「なんのフェスに行ったんや?」 「プラレールフェスティバルや。栃木まで行ったんやで」 「知らんがな。そんなフェスやってるんや」
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