プロローグ

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プロローグ

私の人生、何が起こるか分からない… 国立の美大を四年では足りず、教授の助手として二年、合わせて六年在籍した。 画家として生きていきたい。 そんな私の大きな夢は、日本女流西洋画家協会の主催するアカデミーエリート養成コースの狭き門を突破した事で、現実味を帯びて私の元へ舞い降りた。 「神田さん、本当におめでとう! 世界的に有名なフィレンツェにある油画の専門学校の事はもうご存じだと思うけど、そこへの入学のチケットを特典としてお渡しします」 その特典が喉から手が出るほど欲しかった。 憧れのイタリアで、油絵を愛する画家の卵なら誰もがそこで学びたいと思う専門学校で、私は好きなだけ絵を描ける。 西洋の風景画を愛して止まない私は、このチャンスを必死の努力で手に入れた。 あとは出発するだけ、のはずだったんだけど… 憧れのイタリア留学、そんなに甘いものじゃなかった。 私が手に入れた特典は、試験を突破した合格通知のようなもので、他もろもろの諸経費は全て自腹。 学校の入学金だけは免除、でも、月々の授業料、アパート代、生活費、そして、絵の具やキャンバスや油絵に関わるこまごまとした材料費、その一年分のトータルをざっと計算したら、目の玉が飛び出した
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