入籍記念日

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入籍記念日

五月一日、今日、いよいよ私とミチャは籍を入れる。 ゴールデンウィークのど真ん中だけど、きりのいい月の初めを選んだ。 四月の中旬に知り合った私達は、その一週間後、私の親に承諾をもらった。 その時、ミチャと会うのは二回目。 ミチャは、私の狭小住宅の実家を見て、普通に驚いていた。 狭小住宅に驚いたというより、私の雑然としたアトリエ風マイルームにちょっとビビッていたみたい。 私の母と小学生の弟は、一目でミチャを気に入った。 ミチャの強烈な手土産に私の家族はひれ伏してしまったのは確かで、でも、穏やかで優しそうな微笑みが偽物だとは誰も疑わない。 「家族で決めた金額を記入してくださいね。 急な結婚で、家族の皆様にストレスと迷惑をかけてしまった事を、本当に申し訳ないと思っています」 そして、母に手渡たされた小切手を見て、私達家族三人は目を丸くした。 「本来だったら、結納金という形できちんとした金額を準備しなければならないのだけれども、僕も、そこらあたりの事情に全く詳しくなくて。 なので、これを受け取ってください」 結婚と誠心誠意は偽物だとしても、贈られる小切手は本物だ。 人間という愚かな生き物は、誠心誠意という言葉には疑いの眼差しを向けるけれど、現金だけは諸手を挙げて信用する。 あ~、うちの家族が愚かな生き物でよかった。
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