まひるの誕生日

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まひるの誕生日

八月八日、昔の人は末広がりのいい数字ねと褒めてくれる私の誕生日。 夏休みの、真夏のど真ん中に私は生まれた。 そして、ミチャと私の期限付きの結婚生活。 せっかくだから全てのイベントを堪能しようと二人で決めた。 二週間前のある日、ミチャがこんな提案をしてきた。 「二人の誕生日には、できるだけ旅行をしよう。 今まで、二人がやった事がない事を、チャレンジするってどう? この結婚を無意味なものにはしたくないんだ。 いい思い出をたくさん作りたい!」 ミチャの熱い思いはよく分かった。 でも、二人がやった事がない事って、そんな事ってあるのかな? その日のミチャは、夕食のデザートに、私の大好きな杏仁豆腐を買って来てくれていた。 私はミチャの提案を考えるふりをして、その杏仁豆腐を大きな口で頬張る。 「じゃ、まひるの誕生日は真夏だから、夏に二人がした事がない事、それかやってみたい事を、お互い言っていこう」 さほど時間はかからなかった。 何だか、私達ってよく似ている。 「僕は海で泳いだ事がない。 夏休みはほぼ家に閉じこもって、ロボット作成に取り組んでたから。 海には行った事はあるけど、車で眺める程度かな」 「実は、私もそう。 夏休みはほとんど絵ばっかり描いてた。 海とかそんなアクティビティなものには興味がなくて、外の絵は好んで森の絵や山の絵ばかり」 ミチャはもう決まったみたいな顔をしている。
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