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歪み始めた愛
それは突然に起こった。
何気ない一日。
君と出掛けたというだけの所謂「ケの日」。
放さないように、離れないようにと固く繋いだその手は、その実、簡単に解けてしまった。
もう届かなくて、掴めない君の手。
諦められなくて、認めたくなくて。
だから私は願った。祈った。
神に、仏に、悪魔に、怪異に。
誰でもいいからと、助けを求めた。
果たして祈りは、願いは、誰あろう怪異に届いた。
その人は、その「人の姿をした怪異」は、自らを「吸血鬼」と名乗った。
人の血を吸う化物、人類の天敵。
しかし、そんな事はどうでも良かった。
君と居られるなら、どんな手でも。どんな代償でも。
覚悟はとうに出来ている。
しかし、吸血鬼は代償を求めなかった。
「待て、しかして希望せよ」とこそ言わなかったが、私の希望はここに叶った。
私は泣いた。
君と居られる事が嬉しくて。
ただそれだけで満ち足りて。
だから変わってしまった君に気付かなくて。
そう、少し前の私と同じ。
君もまた、「死なない私」を欲しがっている。
そして、その術を手にしているというのは、また別のお話。
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