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序章 砂漠の神殿
灼熱の太陽が、容赦なく照り付ける。
どこまでも続く広大なカヘラ砂漠を、一人の少年がよろよろと歩いていた。
ズボッ、ズボッ、
一歩ごとに砂に足が埋まる。
その足を引き抜き、一歩踏み出すとまたズボッと砂に足が埋まった。
もう何度繰り返したか分からない。
(方角は合っているはず……)
手で日差しをよけながら、少年は左手に持った方位磁石を見つめた。
磁石は北西を指していた。
少年は、磁石を懐にしまうと、指先に布にくるまれた包みが触れた。
少年は懐に入っていた包みを大事そうにひと撫ですると、再び砂漠を歩き始めた。
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