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ファラトは、もう一度虹色に光るステンドグラスを見上げると、砂漠の神殿の入り口から一歩踏み出した。
キィィッン……‼
神殿全体に大きな音が鳴り響き、びっくりしたファラトが振り向くと、入り口が石壁で塞がれていた。
「そんなっ……‼ウリエル神がぁっ‼」
ファラトは石壁を叩くがびくともしない。
「安心しろ。これは、天使の結界だ。」
アザンは、石壁からファラトを引き剥がした。
「天使の結界……?」
「そうだ。時が来るまで、砂漠の神殿がウリエル神を守護するって事だ。」
「そうなのか……」
まだ呆然としているファラトを引きずって、アザンは歩き出した。
「ポレモス王国は、ウリエル神を見つけるまで追撃を緩めないだろう。カストルと祖国を救いたかったらさっさと歩けっ‼」
ファラトは、アザンの手を離すと隣に並んだ。
「分かってる。アザンは、それで良いのか?ヘオース神殿の者なんだろう?」
すっかり砕けた口調になったファラトがアザンを見上げた。
「お前といた方が面白そうだしな。それに、俺はポレモス王国を憎んでいる。」
アザンは、嘲笑うように唇の端を上げた。
砂に埋もれた階段をよじ登ると、そこには灼熱の砂漠が広がっていた。
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