第一章 カヘラ砂漠

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「これを飲め、疲れが取れる。」 ファラトは、アザンから渡された緑色のビンを傾けた。 「んんっ……これは薬草?」 ファラトは、鼻へ抜ける爽やかな香りに目を見開いた。 「そうだ。これは、ミントという薬草を煎じたモヒートという酒だ。」 「酒なのか……?」 「それほど強くはない。だが、砂漠の夜は冷える。酒で温まってから寝た方が良いからな。」 アザンは、干し肉を軽く火で炙ると、ファラトに渡した。 ジュッ…… 熱い干し肉を噛むと、肉の旨味と香ばしい香りが口内に広がる。 「干し肉は、炙ると美味しいんだ……」 「お前もやってみろ。」 干し肉を手渡され、ファラトはアザンを真似して炙ってみた。 熱い干し肉を頬張りながら、頭上を見上げると、すっかり日も暮れ、多くの星々が瞬いている。 (カストル神官が見たら喜ぶだろうな……) カストルは、星を読み、未来を予知する能力に長けていた。 いつも惑星の位置や、星々が描かれた書物を広げ、夜になると星見の塔に上がり、一晩中下りてこないこともあった。
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