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ファラトは、輝く星座を眺めながら、カヘラ砂漠周辺の地図を思い出していた。
「アザン、セラピア王国は、天然の要塞に守られていて、このカヘラ砂漠からは、ライデン山脈に阻まれて進めないと聞いている。」
「ああ。」
アザンは、布の上に広げたクルミを口に放り込んだ。
「ライデン山脈は、険しい。」
「多くの獣や害虫もいるから、害虫よけの香や、武器をピアセッカで調達する。」
「ピアセッカ……?」
「そうだ。砂漠の交易の拠点で、旅に必要な物はそこで手に入るだろう。」
「俺は、もともと、ヘオース神殿とグノス王国を往復する予定だったからな。カヘラ砂漠を横断する備えしか持ってない。」
「順調に行けば、明後日には、ピアセッカに着く。」
アザンはクルミを片付け、ファラトにもう一度モヒートを飲ませた。
「今日はもう休め。明日は季節風の影響で砂嵐が起きやすい場所を通過する。過酷な日になるぞ。」
「分かった。」
ファラトは、荷物を枕にしてその場に丸くなった。
(星が……綺麗だな……カストル神官は無事だろうか……?)
ファラトは砂漠の静寂の中、眠りに落ちていった。
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