第三章 ユーノア神殿

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(すごい……幻想的だ……) ユーノア神殿、本殿に通されたファラトは思わず目を見張った。 翡翠で出来た柱や床がわずかに光り、少しずつ色を変えているように見える。 ファラトとアザンが祭壇まで進み出る。 「セイレーン様、ヘオース神殿、護衛長、アザンです。」 「グノス王国、シスラ神殿よりウリエル神の像を託された、ファラトです。」 アザンにならい、ファラトも膝をつき頭を下げると、祭壇で静かに目を閉じていたセイレーンが振り返った。 シャラン…… 翡翠の腕輪を鳴らし、セイレーンは薄紫の裾を引きずりながら階段を下りてきた。 「お二方とも、よくぞ参られました。面を上げてください。」 「突然の訪問となり、申し訳ない。」 「構いません。そちらの少年、ファラト……でしたか……グノス王国が災厄に見舞われ、さぞお辛いでしょう……」 セイレーンは、痛ましげにファラトを見つめた。
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