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「私には、思念を伝える能力が備わっています。」
「思念……?」
ファラトは難しそうに眉を寄せた。
「はい。どんなに離れていても思念を伝えることが出来るため、各国の神殿の神官と交信し、互いに情報交換をしております。」
「しかし……このところグノス王国、シスラ神殿の神官長、カストル様と交信することが出来ないのです……」
「えっ……!!」
ファラトは、目を見開いたまま硬直した。
「ま……さか……」
アザンは、ガタガタと身体を震わせるファラトの肩に手をおいた。
「何かあったのは確かだな。だが、ウリエル神の像を手に入れるまでは、殺されないはずだ。」
「セイレーン様、折り入って頼みがある。」
「ファラトに関して、どうしてもカストルに聞きたい事がある。何とか、交信する手段はないか?」
セイレーンは、アザンの隣で震えているファラトに憐憫の眼差しを向けると、小さくうなずいた。
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