第三章 ユーノア神殿

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「私には、思念を伝える能力が備わっています。」 「思念……?」 ファラトは難しそうに眉を寄せた。 「はい。どんなに離れていても思念を伝えることが出来るため、各国の神殿の神官と交信し、互いに情報交換をしております。」 「しかし……このところグノス王国、シスラ神殿の神官長、カストル様と交信することが出来ないのです……」 「えっ……!!」 ファラトは、目を見開いたまま硬直した。 「ま……さか……」 アザンは、ガタガタと身体を震わせるファラトの肩に手をおいた。 「何かあったのは確かだな。だが、ウリエル神の像を手に入れるまでは、殺されないはずだ。」 「セイレーン様、折り入って頼みがある。」 「ファラトに関して、どうしてもカストルに聞きたい事がある。何とか、交信する手段はないか?」 セイレーンは、アザンの隣で震えているファラトに憐憫の眼差しを向けると、小さくうなずいた。
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