序章 砂漠の神殿

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円形の噴水の中央には水の女神テティスの像があり、テティス神が右脇に抱えている水がめから、水があふれ出ている。 少年は、水がめの口に両手を持っていき、水をすくった。 「ごくっ…ごくっ……ごくっ…」 (冷たくて、おいしい……) 夢中で水をすくい、何度も飲み干す。 ようやく喉の渇きが収まると、水面が虹色に輝いていることに気が付いた。 (どこから光が入ってくるのだろう…?) 不思議に思って振り返ると、天井の高いところに、色とりどりのステンドグラスがはめ込まれている。 花のモチーフの中央には、分厚い書物が描かれそこから光が差し込んでいた。 (書物……シスラ神殿にも書物をモチーフにしたステンドグラスがたくさんあったな……) 少年は故郷を憂うように目を閉じる。
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