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少年は祭壇の前に来ると、階段を数段上がって、壁に描かれている天使を見上げた。
(壁画……?)
白い翼を大きく広げ、人々を受け入れるかのように、両の手を開いている。
(こんなに優しい表情……初めて見た……)
少年は、安らぎを求めるように壁に描かれた天使の左手に、そっと自らの右手を押し当てた。
(あ…れ……?)
天使の左手の石が向こう側へわずかにずれた。
(なんだろう……)
「んんっ……」
パタン……
組み合わさった石が一つ、向こう側へ倒れた。
天使の手のひらに穴が空いたように、空洞が見える。
(何か、あるのか……?)
少年は、穴をのぞきこむと、中は思ったより広い空間があった。
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