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第一章 カヘラ砂漠
地平線がオレンジ色に染まる。
(柔らかい色……神殿にいた頃は、夕日が苦手だった……)
(砂漠の夕日は、不思議と温かみを感じる……)
ファラトが夕日に魅入っているうちに、刻々と空は彩を変える。
気づくと、頭上は藍色に染まり、星々がファラトを見守るように瞬いていた。
「ファラト、少し手伝え。」
アザンに手招きされる。
「あそこに、枯れた木々があるだろう。あれを拾ってきてくれ。」
「分かった。」
ファラトは、砂に埋もれるように立ち枯れている木を小刀で切り、両手に抱えた。
アザンと二人で枝を組み、アザンが懐から取り出したマッチで火をつける。
ファラトは、燃え盛る赤い炎を見つめた。
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