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第二章 シスラ神殿
グノス王国の東側に位置する、シスラ神殿。
シスラ神殿の門へと繋がる橋には、シスラ神殿の護衛兵の死体が無残に転がっていた。
橋の両側に整然と並ぶ「知の王国」の旗は見る影もなく、ポレモス王国の赤地に黒い剣の旗が至るところにはためいていた。
シスラ神殿、祭壇の前。
「ウリエル神の像はどこだっ!!」
流れるような銀髪が血に染まり、乱暴にわし掴みにされた。
「さぁ……あなた方のような外道には見つけられないでしょう。」
神官カストルは透き通った紫の瞳で、ポレモス王国の将軍を射抜いた。
次の瞬間、白刃が喉元に突き立てられる。
「貴様のグノス王国は、既に我がポレモス王国により制圧された。隠し立てすれば、さらなる民が犠牲になるぞっ!!」
「バルド将軍っ!!」
甲冑を軋ませ、部下の一人が走ってきた。
「なんだっ!!」
バルドは剣をカストルに突き付けたまま、苛立たしげに振り返った。
「ヘオース神殿からの伝書です。」
「内容は?」
「それが……」
部下は、カストルに目を向けると、バルドの耳元に囁いた。
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