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雲が流れていく。ボクたちのことを自由だと思っているところも、また人間だ。
「あ、そうだ! 私の家ね、パン屋さんなの。食パンもあるから、今度持ってくるね!」
パッ、と思いだしたようにミカが空からボクへと視線をうつした。数メートルの距離があるけれど、まるで人間と対話できてるみたいな錯覚になる。
ミカは、はなすのが上手だ。
「君は頭の上がぴょんってハネてるから見つけやすいな。ふふ」
ああ、そうそう。ボクの頭の毛は、なぜかぴょんってハネている。嫌なんだけど、ミカが見つけやすいっていうなら、いいかもな。
「私のことも言っておかないとね! 私はミカっていうの。ミカ。ミカだよー。覚えた? ミカ!」
ボクを見つめて言い聞かせるように優しく繰り返すミカ。
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