5.カラスである事実

2/12
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/132ページ
「カーくん、昨日ぶり!」 「カァ(おはよう)」  一回鳴いて、頭を軽く上下に動かす。  ミカも微笑んで頭を下げた。 「昨日のパンは……まだあるよね。明日くらいに新しいの持ってくるから」 「カー(ありがとう)」  いつもミカはそうやって気を遣ってくれる。優しい。 「あれ、マツモト!」 「え……」  男の子の低い声がして、ミカは顔をこわばらせながらゆっくり後ろをふりかえった。  少し離れたところに、その子は立っていた。  襟のついた白いシャツ、ミカと同じカバン、ミカと同じ靴。
/132ページ

最初のコメントを投稿しよう!