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全校生徒115人ひく113人
それは桜が散り始めた四月の半ば、よく晴れた日で、僕は教室の一番後ろに座っていた。
ちょうど現国の授業が終わってベルが鳴ったとき、目の前にいた同級生達が突然発光して一瞬後には消え、後に残ったのはチョークをもって立ち尽くす現国の野上先生だけだった。
三分ほどして、教室の扉が開き、同じ学年の色のリボンをつけた女生徒が一人やってきて、
「先生、うちのクラスの人達が全員消えたんですが」
と、慌てたようなそうでもないような早口でそういった。
それから僕の方を見て、
「残ってる人もいるんですか」
と良くわからない顔をして呟いた。
それが佐藤さんと僕の出会いだった。
そして結局、その日学校で消えなかったのは僕と佐藤さんだけだった。
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