大騒ぎにはまだならない

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大騒ぎにはまだならない

僕と佐藤さんの二人を除いた全校生徒が消えた日、とりあえず帰りなさいと教師に促されて僕たちはなんとなく揃って帰った。 家に帰ると、既に先生から連絡を受けていた両親に心配されたが、二人も何をどう心配していいのかわからないような顔だった。 「お前以外みんな誘拐されたのか?テロか?」 「いや、なんかわかんないけど消えた」 「なんだかわけのわからない話ねえ」 同感だ。 けれど意外にもすぐに、皆がどこに行ったのかを知ることができた。 その晩家でパソコンを見ていると、ネットの速報ニュースで、僕らの学校のことが出ていた。 テレビではまだ何のニュースもなかったけれど、現状ではなんとも報道しにくいのだろう。 ネットによれば、うちの学校の生徒のほとんどが消えたこと、また消えた生徒は全員何らかの「異世界」に飛ばされていて、その様子は「ウェブの配信サイトから各チャンネルで確認できる」ということだった。 「日本語なのに意味がわからない・・・」 そう呟きながらアクセスした配信サイトのうちの一つで、同じクラスの吉岡を見つけた。 中世騎士みたいな格好で大草原を竜のような生き物に乗って走り回っている吉岡を見て、僕はとりあえず画面の前で頭を抱えた。
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